僕はいわゆるザ・堅めの日本の大企業で働く2年目の若手サラリーマンです。
職種は経理で、簡単にいうと会社のお金と経営を管理しているような部署です。
で、大企業経理は何をしてるの?
会社には、事業計画(戦略)というものが存在します。これは次年度の経営数値目標・見通しを策定し、1年間のおおよその経営成績の見立てを立てることです。
この事業計画をベースに、その計画に対してどのくらいの差異があったのか、そして差異があればその理由はなんだったのかを経理が分析します。これは月次、四半期、年次単位で行います。そして分析を含めた経営状況をまとめて会社の経営層にレポートをします。
違う言い方をすれば、会社のビジネスが大きすぎるため、経営層じゃ目が届かない事業の前線現場の経営管理をし、普段から見届けをしているのが僕たち経理です。
これだけでは終わらず、経営層にレポーティングする際、その分析をもとに事業現場の課題を抽出して、改善するための施策・提言を共にします。日々起こる小さな課題や、経営上のトラブルは僕たち経理が判断をして対応・改善の方向性を決めます。
しかし大きな課題、僕たち経理だけでは提言までできないものは他部署や、経営層に報告し、僕ら経理の施策・提言を聞き入れながら最終の意思決定の判断をしてもらいます。これが経理の主な役割です。
一言で言うと、経営層の真下に付き添うビジネスパートナーです。(特に僕の部署は管理会計・FP&A業務をするので尚更)
ざっくりいうとこんな感じ、、、
これだけ聞くと、経営に関わることが出来、大企業なら扱う数字の規模も大きいので楽しそうだしやりがいがありそうだと思うかもしれません。
ただ、これは部署としてこのような機能を担っているだけで、僕のような若手・中堅層目線での日々の業務とは別の世界線です。この経理の一番の醍醐味の経営改善のための提言は、最低でも課長、基本的には部長クラスにならないと任せてもらえないです。いわゆる日本の大企業で課長・部長になるには早くて30代後半、普通は40代になってからです。つまり、今の僕の歳(24)から15年ほど先の話なのです。
若手経理の使命:
それを踏まえて、じゃあ経理の若手は何をするのかというと、その経営状況をまとめて経営層にレポートするための資料作りです。
資料は90%は定量的な経営数値・指標で構成されます。残りの10%はその数値・指標の具体的な分析を言語で書きます。
つまり、若手経理の役割は正確な経営数字が載せられた資料を作ることなのです。その上で分析をし、一度部長クラスにレポートをします。課部長らは、その出来た経営数字・分析をもとにして気になる点があれば例えば、具体的にこの指標、こうなってるけどこれは現場で何が起こってこうなったの?計画・見通しと比べてこの数値悪くなってるけど原因は?前にあの指標を改善するために新しい商流スキーム導入したけど、結果指標として良くなった?悪くなった?どっちに転んだとしても、なんでそうなった?これらの質問に答えていきます。
このやり取りで、部長クラスが現場の経営状況をインプットして、課題把握→施策・改善案を経営層にレポートする際に提言します。
流れとしてはこんな感じですが、実際、現場はもっと複雑なのでもっと泥臭い感じで進んでいきます。日々の事業活動が全て経営数字に落とし込まれるので、中には正しい処理の仕方がされておらず、意図しているところと違う経営数字として計上されているものもあったりします。これが一つでもあると、数字がおかしくなるので上にレポート出来ないです。単に正確に数字をレポートするという、言葉ではシンプルに聞こえますが実際にこなすのはかなり複雑で大変です。
鋭い方はもうお分かりだと思いますが、結論、若手経理は数字とひたすら向き合います。
それももうビジネス現場で発生した事業活動を数値化します。つまり過去の出来事とひたすら向き合います。そこに自分の意見、クリエイティブな発想は求められません。部課長も数字と向き合います、ただ違いはどちらかというと過去の数字をベースに未来はどうすればより良くなるか考え、意見できることです。この過去、と、未来の違いは業務ベースで落とし込んだ時に僕にとってはかなり違う感覚です。
人によっては決められたフォーマットに正しい数字を入れていき、分析することが好きだったり向いている人がいると思います。答えがある程度わかっていて、言われた通りに従順に作業ができる人は経理は向いていると思います。少なくとも中堅くらいの歳まではそのような業務がほとんどだからです。
ただ出世して、課長や部長クラスになると答えがない中で経営知識をフルに活用して現場の状況をよくしていくことが求められるのでまた違った人物像、スキルが求められると思います。
以上を踏まえてこの仕事に魅力を感じる人、感じない人がいると思います。僕は個人的に15年先の業務は面白いのかもと思う反面、じゃあそれまでの時間を修行期間と捉えてやっていけるかと言うと、自信はないです。またこの仕事を続けていく中で視点が変わる時が来るのかもしれないですが、今は悶々とした日々を過ごしています。
こんな感じで経理に興味がある人、特に大企業で管理会計・FP&Aをしたいと考える学生や若手ビジネスマンにとって、実際に経理をするとどんな世界観なのかイメージが湧いてこれば幸いです。