英語力ゼロでカナダの高校に単身進学し地獄を見た話(2)
英語力ゼロでカナダの高校に単身進学し地獄を見た話(2)

英語力ゼロでカナダの高校に単身進学し地獄を見た話(2)


1話目はこちら

そんなボロボロの僕には学校の勉強だけじゃなく、野球があったのです。

そう。この本来ストレス解消になりそうな野球さえも地獄が待っていました。

僕のチームが所属していたのはカナダ国内でトップレベルのリーグでした。

British Columbia Premier Baseball League  というリーグです。(リンクは日本語で読めます)

毎年MLBドラフトやアメリカの大学のD1(大学トップリーグ)に多くの選手を輩出しています。

全部で12チームがリーグ内にありましたが、そこの中の1つにトライアウトを受けて合格しました。

シーズン制なので4月〜7月にかけて約60試合くらいを戦い、州のトップを決めます。

え、聞きました? 

高校生しながら3ヶ月で60試合をこなす”んです。

1ヶ月20試合。毎週4試合か5試合くらいある計算ですね。

まずは他のしんどかったことは置いといて、このシーズン中のハードなスケジュール単体でも肉体的に大変でした。

大学やメジャーのマイナーでは過密で移動が多いスケジュールが組まれるので、恐らくリーグとしてもそこで耐えうるだけの体力を選手たちに作ってもらう意図があってそうしているのだと思います。

一番左が僕:

土日はもちろんどちらもダブルヘッダーが多いです。

一番きついのは、平日の学校終わりのナイトゲーム。

リーグと言っても州の中でチームがまばらに広がっているので、遠いチームは放課後に1時間半くらいかけて試合をしに行くために相手の球場に向かわないとダメなんです。(5時間くらい離れてるような本当に遠いチームは土日に遠征)

流れとしては、

・15:30 学校終了・帰宅
・16:00 家に到着・出る準備
・16:15 家を出て相手チーム球場へ出発 (車中で勉強)
・17:30 相手球場到着
・17:45 試合前練習開始
・19:00 試合開始
・21:00~21:30 試合終了・球場出る (車中で勉強したいけど暗くてあんま出来ない)
・22:30~23:00 家到着

さあ、ここから何が始まると思いますか?

ビンゴ。勉強です。

なぜならしないと赤点取って、単位落として、一生高校生することになるからです。

23:00 頃から食事や身支度を済まして24:00過ぎてから実際に勉強が始まります

そこから基本夜中2~3時、週の半分は朝5時とかまでやるんですね。

もう、泣いてました。笑

次の日は寝不足で学校でも体がしんどい。

放課後野球をしてても、本来の体力がないので練習もついていくのが精一杯。

そもそも野球でも1年目は結果が出てませんでした。

高校1年目は運良く上の一軍チームに入れさせてもらえましたが、中学から数段急にレベルが上がるのでついていけてなかったです。

同じポジションのショートのレギュラーは僕ではなく、メジャーのスカウトが来るようなすごい先輩でした。

僕は太刀打ち出来ず、1年目は出番はほとんどなかったです。ベンチの時がほとんどでした。

圧倒的なフィジカルの差。

リーグの選手の平均身長が180前半で、体重が80kg前後です。

170前半で60kg中盤の中学上がりたての日本男児には太刀打ち出来ずでした。

勉強でも挫折。

野球でも挫折。

毎日挫折だらけの日々でした。


平日の地獄の学校で疲れ果てた後に、夜はスタメンで出れない試合のために夜遅くまで外。

夜遅くに家に帰ったと思ったら、そこからまたガリ勉高校生。。。

野球で疲れた体に鞭を打って夜通しで勉強することもしばしばありました。

練習でも、ショートというポジション柄コミュニケーションや連携が重要でした。

ここでも上手くいかないことも多くて、日々監督や周りの選手にも”ダメだこいつはレッテル”を貼られ。。。

自分のパフォーマンスにも納得できない、監督・コーチには日々ブチギレられる。

そんな感じて練習から帰ってきて、どちらにせよ、勉強できるのは夜遅くからでした。

こんな生活を初めの1年はやっていました。

これって多分1週間とかなら出来ると思うんです。

でも、数ヶ月、半年とやっていくうち身も心も削られていくんですね。

ましてや、言語もろくに理解していない状況です。

いくら勉強しても、いくら野球で練習の量と質を追求しても中々周りを越せない。

”自分ってダメな人間なのかな。”

自己肯定感が下がりまくっていました。

人間関係でも、幸いチームメイトや学校でもよくしてくれる友達はいました。

でも、やはり日本から来た自分と境遇が違う人たちだったのでどこか勝手に孤独感を感じていました。

”なんでこんなに頑張ってるのに報われないんだろう。”

そんな悩みを心の底から打ち明けられる、自分が頼りに出来る人は周りにいませんでした。

みんなそれぞれ苦悩はあると思いますが、僕の置かれている環境は特殊すぎて誰も想像できないし、理解できないと当時は悟ってました。

ひたすら野球と勉強、そして一見普通に見えるであろう人間関係も僕の中では孤独を感じていました。

”俺の今の苦しさは誰にもわからない。” そう思って毎日を過ごしていました。

そんな時でも、自分が成長するために全力でもがいていることに対しての自己肯定感だけはありました。

”こんだけ頑張ってるんだから、俺はえぐい成長の仕方してるぞ。見とけよ日本の地元の友達。”

みたいな感じで勝手に燃えてました。笑

死ぬほど精神的にも体力的にもしんどかったですけど、この先に何かあるはずだという漠然とした未来を信じていたので頑張れました。

続き。最終話

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