管理会計経理が教える経営管理講座
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こんにちはシンです!

僕は普段、日系グローバルメーカーで働いています。

その中で、海外の主要拠点にある子会社たちを束ねるグローバルHQのような立ち位置の拠点で管理会計・FP&Aを軸とし、事業現場の経営管理をするような部署にいます。

(まだ新卒2年目のペーペですが。。笑)

そんな僕が今日は経営管理についてお話ししていきます。

今日の本題: 売上が落ちているときに経理として見るべきポイント

2023年度は材料費、燃料費等の高騰が上期は続くと見られており、製造業は苦しむ見通しが立てられています。

中には売上が前年比・対事業計画で落ちるところも多くなるという見方がされています。

さて、こんな市況感、見通しを受けて事業現場の経営管理をする経理(もしくは経営企画)として一つ見ておかなければいかないポイントがあります。

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それがキャッシュの回転効率です。

まず、結論として売上が対計画・見通しで減少する場面は基本的にキャッシュの良化(資金回転効率が良くなる)に繋がります。

これが多くの製造業で正解とされるキャッシュの動きです。

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じゃあ、なぜかそれが正解なのか解説します。

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キーとなるのは”CCC”と言う指標です。これは先ほど申した『資金回転効率』を評価する重要な経営管理指標です。

あまり馴染みがない方のために、これは”キャッシュ・コンバージョン・サイクル”といって、”企業が材料を仕入れてから売掛金の回収までにかかる日数を示す指標”です。

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式としてはこうなります: 売掛債権回転日数+棚卸資産回転日数−仕入債務回転日数

売掛債権回転日数=売掛債権/売上×365
棚卸資産回転日数=棚卸資産/売上原価×365
仕入債務回転日数=仕入買掛債務/売上原価×365

多くの企業のCCCは+です。(アマゾンは別次元だからマイナスです笑 日系だとドラッグストアのコスモス薬品などもマイナスです。マイナスだと資金繰りが良くなってそのキャッシュを使って様々なものに企業は投資できます!)

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仮の数字を用意してみました。これを使って計算していきましょう。

  • 売上債権:30,000
  • 棚卸資産:5,000
  • 仕入債務:3,000
  • 売上高:100,000
  • 売上原価:60,000 (単位:千円)
  • 売上債権回転日数=30,000/100,000×365=109.5日
  • 棚卸資産回転日数=5,000/60,000×365=30.42 日
  • 仕入債務回転日数=3,000/60,000×365=18.25 日

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最後は: 売り上げ債権回転日数+棚卸資産回転日数−仕入債務回転日数=CCC

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このケースだと109.5+30.42-18.25=121.67

つまりこのビジネスは仕入れをしてからモノを売って代金を回収するまでに約122日かかるということを指します。

これが事業計画ベースの数字で算出されたCCCだと今回は考えていきましょう。

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そして実績が実際に出たとします。



経営状況を把握するために、事業計画と実績の数字を比較し分析しますよね。

仮に売上が減ったとします。

売上高 100,000 →80,000

売上が20,000減っています。売り上げの全てが売掛債権になるという仮の設定にしましょう。

そうすると売掛債権もオペレーションが綺麗に行ったとして同額 30,000→10,000 まで減ります。

(実際は債権の回収が上手くいかなかったりして綺麗に全部債権回収するのは難易度が高い)

売上債権回転日数を再計算します=10,000/80,000= 45,6 日

はい、元々事業計画であった売上債権回転日数は109,5日→45,6日まで減りました

つまり、モノを売ってから売り上げをキャッシュとして回収するまでの期間が約65日短くなったことを指します。

CCCを計算すると、45.6+30.42-18.25=57.77

先ほどの122日から58日に減りました。

これを、”CCCの良化”と専門用語で言います。

CCCの良化=CCCの減少=キャッシュ(資金)回転効率が良くなってる。

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今日の結論!

色々とお話ししましたが、、、

『対事業計画・見通しで売上が減少している状況下で分析したとき、CCCの減少=(キャッシュの回転効率が良くなっている)のがあるべき姿ですよ』というのが結論です。

ここで注意して欲しいのが、キャッシュの絶対量が必ずしも増えると言うわけではなく、あくまで回転効率が良くなると言う点です。

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さあ。あなたの会社の状態はどうですか?

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これは経営管理をする経理だけでなく、事業経営をする経営層も把握しておかなければならない重要な観点です。

売上が対事業計画で減少しているのにも関わらず、キャッシュを見ると対計画でのCCC良化が見られない。

そんな時に今一度、現場のオペレーションが上手くいってるのか確認するべきかもしれません。

綺麗に今の例ではCCCが減りましたが、実際に現場では先ほど立てたような理論通りに綺麗にキャッシュの回転が良くなるとは限らないのが現実だからです。

原因として考えられるものとして、”輸送リードタイム長期化”・”工場側から販売会社側への強引な出荷”・”顧客からの特別な要望”・”販売の構成変化”・”営業の管理不足”等です。

ただ、これらの要素は経営戦略というよりは、詰めて課題改善していけば必ず良くなって行くものです。

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一つ、経営オペレーションを評価するのにCCC指標を取り入れるのはもう実践されている経営層が多いとは思いますが、その重要性、見るべきポイントについて今回はお話しさせて頂きました。

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読んで頂きありがとうございました!

僕自身もまだまだ経験が浅い若手なので、日々勉強中です!

みなさんにとって勉強になるような情報を少しでもお伝えできたらいいと思い、日々ブログを書いています。

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